「Ibanez SシリーズにGK3を内蔵できますか?」との依頼。 私も簡単に考えていましたが持ち込まれて「なるほど。いろいろ解決すべき所がある」ギターで、GK内蔵では最も考えされられたギターとなりました。 |
Ibanez Sシリーズはリアピックアップとトレモロブリッジ間が狭くそのままではGKドライバーが入りません。これはままあることなので大きな問題ではありませんが、GK3の13ピンコネクタをどう収めるかが問題でした。 前述の通り、ボディサイドが無いに等しいギターなのでボディトップに増設するしか無いのかな。とお預かりして詳しく検証することにしました。 これまでオーナーはリアのエスカッションを最も薄いものに交換してピックアップ自体もそのエスカッションに合わせて下げ、リアピックアップに載せるようにGKドライバーを貼り付けていました。加えてアーチトップ・アーチバックのボディ構造でボディのサイドは10ミリ程しか無く、固定部にかかる部分に平面が無いのでGK3付属のホルダーを利用しても収まりが悪い状態でした。 |
リアピックアップを移動させることは割とあります。GKコネクタは既存のフォンジャック部に置いて、ノーマルフォンジャックをトップマウントするプランをたてたのですが。。 |
もう少しスマートな方法は無いものかと考えていた際に見つけたピエゾ内蔵のIbanez Sの画像。純正でスラント加工ジャックホールが2つ付いたものがあったのですね。 |
そこで、ボディ形状を採寸して見た所なんとかなりそう。しかし加工方法が問題。なにしろアーチの付いたボディに斜めに回転する刃物を入れなければならず、少しでもふらつけばボディには大きなダメージを与えてしまい、取り返しのつか無いことになりかねません。 |
先ずリアピックアップの移動。24フレット仕様H-S-Hということもあり、各ピックアップ間が狭くエスカッションごと動かすと見た目にバランスが悪くなるのでエスカッション位置はそのまま。 リアピックアップはボディ直付け(スプリングマウント)としてわずかに取り付け位置を移動、エスカッションは一部を切り取ることにより、GKドライバーのスペースを確保しました。 |
GKドライバーを組み込み確認。純正のメタルエスカッションなので、2点止めでも安定しています。 エスカッションのPU上下ビス穴を大きくすれば内部のスクリューにアクセスできるようにも出来ますが、今回はダミーのネジを取り付けることにしました。 |
GKドライバーはスタッドアンカーによるスプリングマウント。ドライバー底面には補強も加えてあります。 |
懸念していた追加のジャックホールの加工が完了。上手いこといきました。 |
追加ジャックホールにフォンジャックを仮組み。このアングルだとボディサイドの薄さがわかりますね。 |
コントロールホールの加工。 |
木工加工後のパーツ合わせも問題なかったので、加工部に塗装。シンセVOL等を追加します。 |
Ibanwz ZR2トレモロを取り付け。ボールベアリングトレモロには独特の重厚感がありますね。 |
トレモロ、GKドライバー、リアピックップの干渉はありません。 |
リアエスカッションの移動は無いので、各ピックアップ位置の違和感は無いかと。 |
配線、セットアップを行い、長かった作業が完了しました。 |
追加コントロールはシンセVOL,S1S2 SW、LED。 |
Ibanez Sシリーズの美しいフォルムを犯さずGK3の内蔵加工が出来たのではないでしょうか。 |
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